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BEHIND THE SCENE BEHIND THE SCENE マイケル・ガントンに聞く<ビハインド・サ・シーン> 完成まで約2年半……特別な手法を用いて撮影された小さな生物たちに宿るドラマ 完成まで約2年半……特別な手法を用いて撮影された小さな生物たちに宿るドラマ BBCアースの新たな試み~脚本化から登場キャラクターの選定まで~

BBCアースの新たな試み
~脚本化から登場キャラクターの選定まで~


過去BBCアースはネイチャー・ドキュメンタリー映画『ライフ-いのちをつなぐ物語-』や『ネイチャー』のように自然界に存在する物語を伝えるため、新しい手法を常に模索し続け撮影に臨んでいます。そして、その新たな手法として『小さな世界はワンダーランド』は、小さな生物たちに宿るドラマを彼ら自身の視点からしか見ることの出来ない、まるで私たちが彼らと同じサイズに縮んでしまったかのような世界を描きたいと思い、ある特別な手法を用いて準備し始めました。

本作『小さな世界はワンダーランド』は完成まで約2年半という長い時間を費やしていて、まず時間を掛けたのが脚本です。今回の脚本を作る際に重視したのは、それぞれの動物のキャラクターを引き出すだけでなく、彼らの驚くべき生態をどのような方法で描くかという事でした。

そのため、私たちはアニメーションなどによって小動物の生態を描きだす多くの専門家と話をし、その中でピクサー・スタジオに出会い、彼らからストーリーの構成やキャラクター設定の協力を得ることが出来たのです。そして本作に登場する小さな生物である、若いシマリスとスコーピオンマウスを選びました。選んだ理由は、1つ目に彼らの生きている世界がとても不思議であること、2つ目はどちらも超常能力ともいうべき身体能力(空中に飛び上がる、映画『マトリックス』並みの身のこなしをする、ガラガラヘビに勝る反射神経を持つなど)を持っていること、3つ目は私たちが映像の中で捉えた彼らの驚くべき日常に、人間が生きていくうえで直面するであろう難題と共通するものが存在していたからです。

本作では彼らの日常がとてもエキサイティングであり、彼らに備わっている驚異的な能力に驚くことでしょう。是非、この全ての動物がヒーローの不思議な世界に、皆さんの想像力を連れて行って貰いたいです。

特殊カメラ×自然や動物に関する高度な知識 世界で初めて映像に記録された動物たちの非常に珍しい行動! 特殊カメラ×自然や動物に関する高度な知識 世界で初めて映像に記録された動物たちの非常に珍しい行動! BBCアースの新たな試み ~優れた機材と撮影を可能にした知識の結集~

BBCアースの新たな試み
~優れた機材と撮影を可能にした知識の結集~


実際の撮影では、小型のスーパーハイスピードカメラや、潜望鏡レンズ、3D映像で超マクロ撮影が可能な特製ストレート型スコープを使用して、ドングリが落下するシーンなどでは毎秒100フレーム以上の撮影が可能な超高速カメラで感動的なシーンをおさめ、ほとんどのシーンで専門的な撮影機材を用いての撮影をしています。

しかしながら全てのシーンで特殊カメラだけに頼った撮影をしているわけではなく、何より自然や動物に関する高度な知識を持っていることが重要なのです。例えば、被写体(小動物)にレンズを近づけて撮影ができるよう、対象となる動物たちにカメラに慣れてもらうことに長い時間を費やし、いくつかのシーンでは、カメラレンズを出し入れできる小さな開口部を備えた特別な撮影用の囲い(ケース)を使用しました。そうすることで動物たちに不信感を抱かれずにシマリスの巣やスコーピオンマウスの巣がある地中の撮影が可能になるのです。また、夜間撮影では照明を使用したシーンもありますが、照明の導入は慎重に行い、明るさの度合いを徐々に引き上げていくようにしたり、高い光源レベルがさほど必要でないときは、超高感度カメラを使用し慎重に撮影を進めて行きました。
動物の行動を熟知した大勢の専門家から助けを借り、場合によっては撮影クルーが到着する前に動物を人間のいる環境に慣らすのに時間を費やし、多くの困難な撮影を達成することができるのです。
このようなスタイルで撮影するには長い時間を要します。特に、動物目線の映像を捉えるためにカメラ位置を地面にうんと近づけなくてはならず、それには相当な忍耐が必要です。
例えば、どのシマリスが登場するシマリスのようにヒーローになれるかを見極めるのに長い時間が掛り、その巣穴にずっと張り込み、シマリスが出入りする場面やライバルとなるシマリスと戦う場面を撮影するのにさらなる長時間が費やされていきました。
しかし、今回、そのように撮影された動物たちの行動の多くは、初めて映像に記録されたものです。動物学者や現地調査に赴いた人たちは、これらの行動を目撃したことはあっても、映像にとらえることは、ほぼ不可能だったのですが、登場する動物たちのそうした非常に珍しい行動をこの手法が明らかにしたと言えます。 更に本作が用いた手法は、BBCの長い歴史において最も革新的なプロジェクトの1つとして、BBC局内でも高い評価を得、通常の野生動物を描いた作品では描かれる事のない動物たちにスポットライトを当てた、非常にエキサイティングな手法であると認知されました。
このことは、こうした動物たちの生態が、ライオンに勝るとも劣らないほどエキサイティングであることを示したに他なりません!
本作で登場するどのシーンもすばらしく、全てのシーンに注目してもらいたいですが、個人的に気に入っているのは、シマリスが最終的に敵をやっつけてドングリを取り戻すシーンと、スコーピオンマウスが迫りくる鉄砲水から逃れるために渓谷を駆けのぼって行くシーンです。そのシーンを見ると映画『インディ・ジョーンズ』を思い出します。